あやや、スッゲーー!
いわゆるアイドルというのにうつつをぬかした経験というのがありませんでした。
その昔、周りが天地真理派、南沙織派、アグネス・チャン派といわれたって、私のアイドルはマイルス、コルトレーンで、オーネット・コールマン、アルバート・アイラーを理解したような顔をして音楽性の欠片もないかわいこちゃん達を小ばかにしていたのでした。
ところが今になって、いい年こいて松浦亜弥にクラッときてしまいました、ほんのちょっとだけど。
それでもアイドルは可愛ければいいわけで、あややの歌を聴いても「よく訓練されているなぁ」と思う程度で、音楽性を求めるわけではもちろんありませんでした。
ところが以前たまたまTVで一曲だけ見たフルオーケストラをバックに堂々と歌っていた松浦亜弥のバラードを聴いて、「もしかしたら歌も本物かもしれない」と思い、飲料水の一連のCMで美空ひばりバリに耳がいいことが判明したのです。
で、
音楽的にもやられてしまった決定打は先日のNHK「夢 音楽館」
録画しておいてよかった。
村田陽一さんの変幻自在のアレンジと凄腕スタジオミュージシャンと見事に渡り合っていました。
「ねぇ〜」では4ビートとシャッフルっぽいリズムに乗り切り(ズバズバにちょっとやばいところがあるもの愛嬌)「買い物ブギ」では「なんだ、コリャ!」というような難しいアレンジを完璧に消化していました。
白眉は「ドキドッキLOVEメール」
高水健司のベース、村田陽一のトロンボーン、佐藤潔のチューバ、山本拓夫のバスクラリネットという低音だけばかりのとんでもないバックアレンジ、しかも高水、村田、佐藤、山本・・・・って高名を知っていたらビビッテしまうようなメンバーを相手に、呆然とするほどの表現力を発揮していたのです。
「カ、カワイイ・・・あやや」だけでなくて
「スッゲー!あやや」も加わってしまいました。
フルバンドでゲストプレーヤーと初めて演奏するとき、メンバー全員が「お手並み拝見」という気持ちを持つものですが、お手並みが予想以上に凄いとき、メンバーは一気にニコニコ、ノリノリになるものです。
この日の凄腕ジャズプレーヤーたちは明らかにニコニコ、ノリノリでありました。「おじさんたちは嬉しい。あやや、かわいい」ってな雰囲気が見えています。
おじさん達を音楽的にも惹きつけてしまうこのアイドル、ただもんではない。怪物かもしれない。
「ウォゥウォゥ熱唱」歌上手い系のもったいぶった歌い手には何の興味もありませんが、あややは別格、歌も聴かなくては。