出品酒


地元「花の舞」の鑑評会出品酒を昨日頂戴しました。


無濾過生原酒斗瓶取


審査員が飲んだのと同じレベルでいただけたのは多分今年も私ン処だけです。


残念ながら今年は入賞を逃がしてしまったそうですが、私には賞を取ったかどうか自体はたいした問題ではありません。


土田杜氏の渾身の一本をいただけるかどうかだけが問題なのです。


毎年「花の舞」さんから鑑評会出品酒をいただき味を聞いてみて思うのは、日本酒造りの難しさです。杜氏が店に見えたときに伺う様々なご苦労とあわせて考えると、酒質の毎年の微妙な変化はまさに日本酒が生き物であることを如実に表しています。昨日営業さんがおっしゃるにも「毎年杜氏の賭けみたいなモンです」と。


杜氏ご自身が思い描く酒にどこまで近づいてくれるか、酵母というまさに生き物を育てるわけです。しかも一年に一回一発勝負です。


どれほどの名杜氏、経験豊富といわれても、三十年の経験なら、酒造りは三十回だけです。


板前なら一つの献立毎日何回も繰り返すわけで、たとえ失敗してももう一回・・・・ができないわけではありません。杜氏はそれができません。


一般に市販される日本酒では、毎年の微妙な差異は極力取り除かれ、均一化した製品としての顔を持たなくてはなりませんが、出品酒は杜氏の努力が素のままで見られるのです。


「地元のお酒は半端じゃなく最上級を使わせてください」という蔵へのお願い通り、今年も地元「花の舞」は出品酒だけを使わせていただきます。


力のある作者の創造物というのは、料理もお酒も小説も音楽も映画も、いいの悪いのの批評でなく、その方のその時の表現を楽しむというスタンスをいつも持ち続けていたいものです。