一目でわかる

一見(初めての)のお客様を玄関でお迎えするとき、一目で食べ方や飲み方の素性がわかってしまうことがあります。ほぼ80%くらいの確率で。


主には「料理を残す人」という男女と、「辛いだけの”辛口”しか飲めない日本酒派」という男性なのですが、着ているものとか、手に持ったもの、靴、女性なら髪形、お化粧の雰囲気、爪の姿、そしてなにより玄関をくぐったときのかもし出す全体の雰囲気。


先日もあるお客様の時、サービスのスタッフに「○○の間のお客様、あまり召し上がらないかもしれないから先付けの召し上がり具合見て連絡して」と伝えると、「親方なんでわかるんですか?」と。


具体的には差支えがあるので言えないのですが、長い間の経験値というのはそういうものです。


案の定、すべての皿は食べ散らかされ、平らげられた皿は一つもありませんでした。好き嫌い、上手い不味いとは別のところで、残す方は残すのです。


先付けの食べ方だけでその傾向はわかりますので、調理場ではその方のポーションを小さくしたり、品数も急遽減らしたりしてしまいます。


辛口志向の日本酒党も同様です。見た雰囲気だけでわかる方もたくさんいます。


そういう方の「お酒頂戴」の注文には「十四代」からお酒を始めることはありえません。私がお奨めしたお酒の最初の一口で、次のお酒の組み立てを計算します。飲んだときの表情だったり、ちょっとしたコメントだったり、中には通ぶりを披露される方もいます。


まっ、幸いにして両方とも私ン処では少数派ではあるのですが、少数派だけに際立ってわかりやすいのかもしれません。いずれにしても長いお付き合いにはなりにくいお客様でもあります。


そういうお客様にはヤナ店でしょうからねぇ、私ン処。