お茶を挽く


店にお客様が全然やってこない日を「お茶を挽く」といいます。


昔、お客が全くつかない遊女に与えられた仕事が、茶臼でお茶を挽くことであったことからきた言葉だそうで、落語などで登場することが多い言い回しです(「お直し」など)


先日の休日、知り合いのある店に食事にうかがうとお客様はほかに誰もいません。いわゆるお茶を挽いている状態でした。


初めて入る店がお茶を挽いていたりすると「味のほうは大丈夫だろうか?」と不安になるものですが、この店のようによく知っている店では「へーー、○○さんのところでもこんな日もあるんだぁ」などと軽口を叩きながらサービスを独り占めにできます。


お手頃な値段としっかりした味でかなりの人気店でもこんなことがあるのをみると、「ああ、ウチだけじゃぁないんだぁ」とちょっとほっとしたりしてしまう気持ちは、飲食店を営む人なら誰しも理解できるのではないでしょうか。この景気です。お互いに慰めあうしかないときもありるのですね。


銀座の某有名和食店は開店以来満席にならなかった日は無い・・・と豪語していましたが、本当にそんな店もあるのですね。


近所の鰻屋さんは東京青山に出店して大成功だと聞きます。


名古屋のある店は、銀座へ出店して人気を博し、全国区で有名になって名古屋に逆輸入されたとか。


小田原「ラ・ナプール」の成澤さんも青山に店を移してから、予約をとるのが難しい状態が続いているようです。


成澤さんの場合、昔から「天才だ、天才だ」と私が主張していたのにやっと世間がついてきたようで自分のことのように嬉しいのですが、「やっぱり東京、しかも麻布青山六本木なんだなぁ」というのが実感です。


お茶を挽くような日があると、「いっそ東京へ」なんて考えたりして・・・・実力の無いモンが東京で受けるわきゃないんですが。。