芋焼酎


「焼酎ならなんでも売れちゃうんだよねぇ、変な時代だよぉ」とお付き合いのある酒屋さんが言っていました。


ブームというのは人を盲目にするようです。


長く置いたまま売れなかった焼酎を飲んでくださるようになったのは嬉しいのですが、それもつかの間、あっという間になくなってしまいます。


昔は、「森伊蔵」でも「村尾」でも「伊佐美」でもメニューに載せてあっても、全然注文する人などいなかったのです。「百年の孤独」なら「おっ、”孤独”をおいてあるじゃん」と嬉々として飲まれたのです。「芋焼酎もいいですよぉ」と申し上げても見向きもしてくださらなかったのがほんの4-5年前。


東京では焼酎バーなんてのができてすごい人気・・・・・というのが田舎町にまで浸透するのにはやっぱり2〜3年かかります。


芋焼酎の人気がやっと出てきたと思っても、私ン処で注目されるのはやっぱり「森伊蔵」「村尾」「伊佐美」というのがこの1〜2年。


「桜井古酒」はいいですよといっても、「月の中」は飲み飽きしませんといっても、「兼八」の熟成したのはなかなかですといっても、「宝山」の芋麹全量の香りは素晴らしいですといっても、「佐藤」の白麹と黒麹を飲み比べてみてくださいといっても、「がらるっど」は樽熟5年、年間生産量の稀少さも伊蔵の比ではありませんよぉといっても、見向きもしてくださいませんでした。


それらのすべてがメディアで入手が難しいとか、「旨い」とかというのが浸透すると、あっという間になくなります。二年も三年も一本の焼酎が全然減らないでいたのに。。。。


昔集めていた筋のいい焼酎のすべては、雑誌の「本格焼酎飲み比べ」などという特集の「人気銘柄ベスト10とか入手困難銘柄ベスト15なんていうセレクトの中に入っています。


時代を先取り過ぎていた・・・・といえばかっこよく聞こえますが、商売が下手・・・・というだけのことです。


それらの今人気の焼酎は自分がいいな、と思っても、辛い時代が長くて定期的に注文していなかったものですから、今「ください」と酒屋さんにいっても簡単には手に入らなくなっています。


というわけで、久しぶりにこんな芋焼酎を入手することができました。







「佐藤」白麹は久しぶり。ずっと置いていても売れなかった「佐藤」が今では「なあぁんだ、”佐藤”ないの」と言われる時代になっています。


「たなばた」平成10年
万膳「流鶯」


わかるかなぁ。。。。。メディアで騒がれれば美味しいような気がするかもしれません。


・・・・どうも、焼酎にはひねくれた思いがつきまといます。いかんいかん。