パッション


映画「パッション」を見てきました。


本来「パッション」だけでは激情とか熱中の意味になるのですが、”The”がつき、”The Passion of The Christ”で初めてキリストの受難」を表すのだそうです。


映画はキリスト最後の12時間を忠実に描くと言われていますが、映画のことを書こうと調べれば調べるほど様々な専門家の次々と現れて、どうやら、敬虔なクリスチャンであるメル・ギブソンが描くキリスト最後の12時間であって、彼の信仰の証とでもいうものと考えたほうがよさそうです。


この映画、どの解説でもかかれるように心に焼きつくのは、キリストの深く刻まれた傷と画面に溢れる血で、正視に耐えないほどの残忍な鞭打ちシーンと、十字架を背負ってゴルゴダの丘に登るキリストがいつまでたっても脳裏に焼きついたまま離れません。あまりにリアルで信仰を持たない私にはどうにもいたたまれない重たい気分に覆われるのですが、深いキリスト信仰を持つ方には、残忍であればあるほど、すべての人間の重い罪を背負うキリストへの信仰は深まるのでしょうね。


メル・ギブソンが描く・・・・」とはいっても、シーンの一つ一つは史実に即した内容で、歴史、特に宗教を描く場合には美しく華やかに彩らるのと対照的に、その当時の様子がリアルに表されているとキリストとその周辺が鮮やかによみがえります。これはずっと以前に遠藤周作の「イエスの生涯」以来のことです。


鞭打ちのシーンも、磔のシーンも実際にはこうであったのだ・・・・と目の前に突きつけられることは歴史が遠くなればなるほど私には大切なことです。


キリスト信仰には全く関係のない私には残忍なシーン以外には、磔から降ろされマリアに抱かれるイエスのショットが、ミケランジェロピエタそのもののように見えショットが印象的でした。(聖書には描かれていないそうですが)


・・・・と、傍らにいるマグダラのマリア役のモニカ・ベルッチの美しさ(やっぱり不謹慎?)