ドレスコード


初めてご来店してくださるお客様に「お店にはドレスコードがありますか?」と聞かれることがあります。


もちろん特にドレスコードらしきもの、店の側から「こんな風にしてください」はなにもありません。


必ずそれなりの装いでご来店して下る方から、カジュアルな姿でお見えになる方まで様々です。ただ、初めてお見えになった方があまりにカジュアルな格好ですと、ちょっと気恥ずかしさが見え隠れするのも事実です。


すべてが個室になっている私どものような店では、服装に気遣いを求めないというのもサービスの一つかもしれません。


先日家族で某ホテルに食事に言ってきました。休日であるせいか、カジュアルな姿のお客が多いのに驚きます。カジュアルといっても本当にTシャツにジーンズウェスト・ポーチ、海水浴帰りという感じです。この地では格式のあるホテルなのですが。


私は個人的には、フレンチや中華、イタリアンなどで食事をするとき、ホールで他のお客様が見える場合には、着ていくものにそれなりに気を使います。レストランのホールはある意味「舞台」のようなもので、お客一人一人が舞台を彩る役者のようなものであると思うからです。舞台に似合った服装と、舞台に似合った振る舞いが、ホール全体を盛り上げお互いに楽しく華やかにしてくれます。


このときには、連れ合いがカラフルなドレスシャツにパンツ姿、軽いショールをかけていましたので、私は紺色にストライプの入ったドレスシャツに濃紺のジャケット、ネクタイははずして折り目のついたコットンパンツ、靴は黒のUチップにしました。休日のカジュアルでもジャケットは羽織る・・・・くらいが夫婦のバランスでもよいのかなと思ったのです。こんな場合大抵連れ合いが主導権を握り、私がダメだしをくらいながらそれにあわせる・・・・という情けないダンナが通常です。


日本人はTPOにあわせた服装が苦手です。たとえバカンスでリゾート地に出かけても、それなりのホテルのメイン・ダイニングでの食事を予定していたら、男性は軽く羽織るジャケットに紐のついた靴くらいは余分に用意したほうが恥をかかないと思います・・・・というより、そういう格好を楽しむことが私は好きです。服装ですでに気後れすると食事が美味しくありません。


海外でも日本人ばっかりというリゾート・ホテルでしたら例外です。たとえメインダイニングでも、Tシャツに短パンサンダルがまかり通るはずです。いいんですかねぇ、郷に入れば郷に従え。


私は気軽さよりもほどよく心地いい堅苦しさを選びたいと思うのですが。