板前選曲
お得様のお嬢さん(小学生)が「クラシックのピアノを聴いてみたと言ってるんだけどいいCDない?」というお問い合わせがあって、「それなら私が作ります」と大見得を切ってしまいました。なにしろ私、聡明でチャーミングなお嬢さんの大ファンですから。
昔は「女性悩殺カセットテープドライブ仕様」をあれやこれやと作り(今は悩殺された女性は山の神<失敗)、子供が生まれてからは「情操教育用カセットテープお遊び仕様」などと作ってきたのですが、今回はもしかすると彼女が音楽好きになるかどうかの重大任務かもしれません。
クラシックでは一番信頼しているこの方の助言や、桐朋出身クラシックピアノ超エリート ピアノ教育のTHE PROFESSIONALでもあるこの方のお話も聞いて、MDにおこしやすいCDを棚の中から抜き取っていきました。
LPやカセットテープまでがさごそ探せば選択肢はもっと増えるのですが、気の遠くなるような手間がかかりそうなのでとりあえずはCDのクラシックピアノ盤だけから。
で、こんなCDが約20枚
マレー・ペライヤのゴールドベルク変奏曲抜粋
グールドのフランス組曲抜粋
でバッハは決まり。
モーツアルトのピアノソナタは、CDではグールドしかもっていないのでパス。グールドのトルコ行進曲を標準と思って聞いたらえらいことです(自分の子供なら面白いけど)
ベートーベンは何にしようか?「月光」?「悲愴」?「テンペスト」?と悩んだ挙句、「月光」
演奏者はケンプ?ホロヴィッツ?バックハウス?
ショパンはさらに悩みます。
ポリーニのスケルッツオ
アウラのプレリュード
アシュケナージのバラード
ポリーニのエチュード
ホロヴィーッツの様々
リパッティのワルツ
どこで手に入れたか忘れましたがマルガリータ・シェフチェンコなんて大円舞曲が結構いい。どの曲を誰の演奏で?
シューマンは自分でもよく理解していないのでパス。
協奏曲はチャイコ一番?ラフマニノフ二番?手持ちのCDはホロヴィッツとアシュケナージ。
ドビュッシーの月の光は絶対入れたいし、グルダの弾いている亜麻色の髪の乙女も絶対。ラベルはどうしよう?
一つくらい変なヤツとうことで、モンポウの「「内なる印象」もいいな。
嬉々として選んでいるうちに誰のために選ぶのか忘れそうになります。あくまで小学生が聞いて興味を持ってくれることが一義なのに自分の好みになってはいけません。
クラシックファンがこの選択を見たら、ひねりなし、ポリシーなしの有名盤頼りの選択がすぐばれてしまうのですが、なにしろクラシックの素養自体がお寒いものですから我慢してもらいます。
改めて自分の小学生時代を思い出してみると、クラシックに興味を持ち始めたのがやっと5年生くらい。当時(昭和30年代後半)「クラシックの世界のNO.1はカラヤンである」みたいな認識がやっと一般庶民にもでき始めた時代でした。買ってもらったのか、もともとあったのかさえ覚えていませんが、カラヤン〜ベルリンの「ベートーベン5番」や「ドボルザーク 新世界」などを聴いて、「有名な”ジャジャジャジャーーーン”や”家路”よりもきれいなメロディーがいっぱいある曲なんだぁぁ」といたく感心した覚えがあります。ひとりステレオのある部屋で目をつぶって(当時目をつぶって、というのが驚きでした)カラヤンのマネをしたり、よく知らずに、ワルターやフルトベングラーのポスターを部屋に飾ったり、ヤナませガキだったのでした。
さて、選んだピアノ曲のうち一曲でも彼女に「あれ、この曲いいじゃん」って思ってもらえたら大成功、果たして。