ボルドー グランバン


お客様が持ち込まれる偉大なワインをご相伴させていただくのはこの上ない楽しみです。


昨日のご相伴ワインはシャトー・ラトゥール1975 1970代を代表するビックヴィンテージです。


それにしても30年です。長い年月を経ているにもかかわらず、今回のラトゥールはあらゆる意味でボルドースタイルの最高峰と確信できるすばらしいワインでした。デキャンタすると同時に香る豊かなブーケ、永い眠りから今目覚めた若々しさが漂い、色調は普通のワインの10年目くらいにしか思えないような少々オレンジがかったガーネット色。口に含むと鼻から脳髄にまで突き抜けるような香りと、瑞々しいタンニン。このしっかりしたタンニンは50年しても衰えないのではないかと思うような爆発的なものです。そして驚くほど長い余韻。ウットリした幸せが余韻とともに長く長く続きます。


これでラトゥール1975を飲むのは三回目なのですが、各々のボトルの印象がそれぞれに違います。30年近くを経てくると、一つ一つのボトルがどのような状況で寝かされてきたかで味がずいぶん変わってくるのでしょうね。しかし、昨日ほどのラトゥールを味わったことはこれまでありませんでした。


これほど偉大なシャトーになると、オフヴィンテージだから不味いとかビックヴィンテージなのに状態がどうした・・・・などと批判的なことは一言も言いたくなくて、それぞれのヴィンテージの個性を楽しみ、それぞれのボトルの歴史を楽しませていただけるのが楽しくてならないのです。


1975を持ってきていただいたお客様は、この一年の間にボルドーワインの綺羅星のようなシャトーを続けてご相伴させてくださいました。


シャトー・ラトゥール 1975
シャトー・ムートン・ロートシルト 1975
シャトー・シュバルブラン 1974
シャトー・ラフィット・ロートシルト 1976
シャトー・マルゴー 1978(1979だったかも?)


どのワインも香りをかいではため息をつき、一口飲んでは言葉を失うほどのすばらしいワインばかりでした。


持ち込みワインの条件は、私ン処のリストよりいいワインであることと、「一口飲ませてね」・・・などという子供じみたお願いをしたおかげでこの幸せ。ワインに出会えた喜びを満喫しました。


で、
一つの結論。完璧な状態の素晴らしいヴィンテージの偉大なワインは間違いなくお高い。でも値段のその価値は必ずある。お安いメッケモンはなかなかありません。