おごられる側の掟


カップルで私ン処へお見えになるお客様のほとんどは男性のおごりです。割勘という方は少数派です。


お酒を選ぶ場合、多くの男性は自分の好み以上に女性に喜んでもらうための選択をされます。


日本酒で・・・・とおまかせいただければ、私もまずは女性好みのものを頭に描くのです。ワインでも同様ですが、それ以上に男性の懐具合も大切です。リピーターになっていただけるかどうかは男性の財布の満足も大きく関わってきます。


ある日、あるカップルのために選んだワインは「ジュベリー・シャンベルタン プルミエクリュ ヴィエンヌヴィーヌ 1996 ドメーニュ ベルナール デュガ」


ロバート・パーカーブルゴーニュの作り手五傑の一人に選んだベルナール・デュガの定番。ヴィンテージも熟成具合も自信のある一本のつもりです。値段も1998年の一般小売が¥11000くらいですから、料理店でビックヴィンテージの1996年が¥12000で飲めればかなりのお手頃のはずです。普段の男性の予算を考えれば範疇内の選択でもあります。


ところが女性のほうのコメントが「香りはいいんだけど、水っポーーーイ」と。


ベルナール・デュガを理解できない・・・・というよりは喜んでもらおうという男性に申し訳ありません。こういうときはせめて「香りが豊かで、軽やかな味がチャーミングで美味しい」とでもおっしゃってくださるのが正解。否定的な言い回しは禁句です。おごってもらうのですから。予算が無制限でしたら濃厚なブルゴーニュはいくらでもお出しするのですが。。。。


お水系の女性の同伴では決してこういうことはありません。彼女たちは賢く、場を心得ています。仕事だから当たり前・・・・といってしまってはオシマイ。どんな場合でも料理やお酒を面と向かってケチをつけることはありません。どれほど満足しているかを20%増し位で語ってくれます。一緒に食事をするにはこうでなくてはいけません。


・・・・・というのは同様に褒めてもらえる私の側の論理かも?