コツコツ


40歳を超えてからでしょうか、コツコツやることが苦痛でなくなってきました。若い頃あんな嫌だったのに。


周りから認められずに早く結果の欲しい若いときには、「継続は力なり」などと言われても、「フンッ」とそっぽを向いていました。コツコツ歳を取るまで続けても、評価されるかどうかわかったもんではありません。エネルギーが溢れているときには、瞬発力で次々新しいことに取り組む革新こそ正しい道であると信じていたものです。


一つの道を繰り返し繰り返し飽きないで続けていると、当然のように経験の積み重ねができて、人より少しはぬきんでる分野もできるわけで、それなりの評価を受けたりします。


実はこの評価を受けるということが大事なわけで、コツコツやったことが正しいとわかれば、当たり前のように苦痛ではなくなるのでしょうね。天才的なひらめきや人が真似のできない技術を持たない人間がなんとか認められる唯一の道が「コツコツ」だったのだな、とやっと気づくのです。まったく勝手なモンです。


この歳になって若い連中に「飽きずにやりなさい」「コツコツと」「がんばらなくてもいいから怠けずに」などと言っている私は、ただきらめくような才能も天才的な瞬発力もなかったゆえに、ただ頼る道として「コツコツ」を選ばざるを得なかっただけなのです。私の言葉を聞いた若い連中は、昔の私のようにきっとそっぽを向いているのでしょうね。


「コツコツ」は私にとって、自分のこれまでを認めてもらいたい独りよがりなのかもしれません。それしかないというのは悲しいもんですが、それだけもあったらめっけもんです。


若者よ、コツコツやんなさい。20年もすればきっと納得できるから。