現地の味本当の味


調理師学校から一ヶ月、研修にやってきているシーダさん(タイ人女性)に、「お惣菜にタイ料理作ってね」とお願いして前回はトムヤムクン、昨日はタイ風焼きそばが出来上がりました。


どちらも美味しい。


こちらのエスニック料理店でで日本人がつくるタイ料理は、同じような材料で同じように作っているのですが、まとまり方が違うのです。


米の麺は同じでも火の通り方が微妙に違う、もやしや韮の火の通り方、卵でのとじ方、ナッツ類のバランス、それぞれが微妙に違って全体として別の料理になっています。ほぼ同じ素材なのに。


シーダさんにそのことを話すと、「タイで食べる日本料理もそうです。親方の料理とは別物です。ですからこちらに来て勉強したほうがいいと思いました」と。


レシピだけで作る各国料理と現地でそのものの味を知っていたり、実際にその地で習うことの違いというのは明らかにあります。


日本のどこでも食べられるピッツアをイタリア人は多分ピッツアとは認めないでしょう。でも、イタリアで修行された力のあるシェフが作った鮎のパスタは、日本の素材を使っていてもちゃんとイタリア料理としてまとまっている気がしました。体で培われた「血」が作らせるのと、一度もちゃんとしたピッツアを食べたこともないアルバイトがマニュアルで作るピッツアの違いです。


今流行の創作料理が他国の料理の手法の借り物をそれらしくアレンジしていても、決してオリジナルの料理を超えていないことが多いのは、創作している本人がその料理の正しい形を理解していないからでなのです。


現地の本当の味と想像で作る味との違いがどこにあるのか・・・・ちゃんと理解できたときに創作が生まれるのかもしれません。