浮かれてないか?


本屋に言っていわゆるグルメ系の雑誌を買うことが少なくなってきました。むしろ立ち読みさえ苦痛です。


ちょっと前でしたら、情報にも飢えていましたし、「こんないい店ができたのか」とか「あの方がこんな仕事をやっている」とか興味津々、程度のいい雑誌のいくつかは定期的に講読していました。


ところがこのところの雑誌を中心にした料理店や旅館ホテルの情報の氾濫はは異常に増えている気がします。店のほうも新規の、よく言えば新たな試み、悪く言えばプロデューサーやらコーディネーターやコンサルタントやらの匂いのする「この店何年続くの?」というような店が目立ちます。


そうでなくても、5年ほど前の雑誌のイタリアン、フレンチの店特集などを眺めてみると、すでに閉店していたり、メディアはすでに取り上げる気配すらない店がどれほど多いことか。一度、「19○○年○月号のその後を探る」なんて企画さえ面白いのではないかと思うほどです。


多すぎる情報、真っ当な感じがしない店の氾濫、新しさだけを求める消費者には食傷気味です。メディアも、料理店も、消費者も時代の先端を突き進んでいるように振舞っている自分が好き・・・・と浮かれすぎていないでしょうか。お祭り騒ぎにお付き合いするには歳を取りすぎました。


できれば、ちゃんと前を見据えた料理人の「私はこういうのが美味しいと思う」と穏やかに主張するような料理を出す店が、浮かれ騒ぎに乗らないで静かに長く続いている・・・・そんな店だけを取り上げるメディアと、そういう店のお得意様と、それに答える店。そういう構図だけが残って欲しいものです。


雑誌で言えば、斉藤壽氏が編集していた初期の「料理王国」なんて読み応えがあったのですが、いまじゃ売れないのかなぁ、あれじゃぁ。