恵まれてる


近所の料理屋さんがまた一軒店じまいをしたようです。古くからの乾物屋さんも取り壊されました。


なくなってしまった店の跡にできるのは、居酒屋さんなどお気軽で店舗展開をはかる店ばかりで、主人が自ら調理場に立ち地道にこつこつ長年続ける店ではありません。


10年後いや5年後にこの店はまだ同じ形態でやっているのだろうか?と思うと寂しくなります。


お客様のほうも安い、入り易い、企画モノっぽい雰囲気作り・・・・が好きなのか、賑わうのは「この店でいいの?」と私のような古い頭の人間は首をかしげるような店ばかりで、主人と家族が「生業(なりわい)」として続ける店は苦戦を強いられています。


銀行でいくつかのテナントビルを持つのオーナーをお話をしました。


「物販も飲食業も今はたいへんだよねぇ。テナントを貸すほうもつい回収が早い飲食に走りがちになるんだよね」
「ウチなんかも頭の固い商売をしてますから大変です」と私。
「何言ってんのぉ。お宅なんか古くからのお得意様がちゃんとついてるから固いでしょう」
「いえいえ、お得意様に頼れる時代じゃぁありませんから・・・・」
「でも、自社土地自社ビル、しかもテナントなしで自分の店だけでしょ。周りを見てご覧よ。飲食でテナント入れないビルが何軒ある?」
「まっ、そういえばそうですねぇ」
「さらにほとんど予約だけで回るんでしょ。仕入れのロスがないじゃん。そういう店周りにある?」
「まっ、そういえばそうですねぇ」
「客単価だって落としてないでしょ。オタクの値段でやってる店周りに何軒ある?」
「まっ、そういえばそうですねぇ・・・・・」


大変だ大変だといいつつ、この時代今の形態で何とか店が回っているのは恵まれてるといわなくてはいけないのでしょう。


こうしてみると「生業(なりわい)」としての料理屋が80年ちかく続けていられることは有難いことなのですね。先代先々代に感謝しなくては。


生業が存続していける可能性はまだあるのでしょうか?