不人気映画


月曜日にしては珍しく、シネマコンプレックスのチケット売り場にちょっとした行列ができているのに、いざ上映場に入ってみると観客は10名以下。並んだ人たちは「踊る大走査線2」や「釣りバカ日誌」「座頭市」「陰陽師Ⅱ」に入っているのでしょうねぇ。


かくいう私も サハラに舞う羽根”THE FOUR FEATHERS”の情報は全く持っていなくて、サイトを調べて初めて知ったほどの映画です。


19世紀末、世界に覇権を広げたヴィクトリア大英帝国時代、将軍の子として士官に成長した主人公は、結婚を前に始めてのスーダンの砂漠、最前線への出発を告げられ除隊願いを出します。3人の親友から非難され、臆病(おくびょう)者を示す白い羽根を送り付けられ、体面を重んじた婚約者もまた、主人公に羽根を渡します。すべてを失った主人公が苦悩の末、前線へ旅立ち、苦境に陥った友人たちを救います。


英国貴族は地位と名誉と冨の代償として、国と女王のために士官として最前線へ立つのが当然という時代に、軍隊から逃げ出すという行為がどれほど恥ずべきものと受け取られるか。当時の戦争感や軍隊感を知らない私でも想像はつきます。名誉と友情、婚約者との愛情を取り戻すために砂漠へ向かうというストーリーは、今のCG中心のアクションとは正反対に、一昔前の一大活劇のように丁寧に描かれています。


それにしても、遠い外国の戦争にのこのこ出て行って大量の血を流す。自国の利権のため?アメリカ・イギリス合作のこの映画で描かれると、アメリカ・イギリスが協力して進めた対イラク戦争まで発想は変わっていないのではないか・・・・と思ってしまいます。


時代は違っても、同じ英国の士官とアラブ、砂漠を描いた映画の金字塔「アラビアのロレンス」が思い起こされます。民族と歴史を主題にしているといわれるこの映画は、つまるところ監督デイビット・リーンは砂漠の美しさを表現したのではないかと私は思っているのですが、「サハラに舞う羽根」は砂漠をバックグラウンドに友情と愛を描いています。


昔、近所の映画館でリバイバルの「アラビアのロレンス」を見たとき観客は3人でした。今回は新作でも10人以下。


名作と客を呼べる人気作品とは一致しないというのは、今も昔も変わりません。