東野圭吾〜清水義範


「手紙」を読んで東野圭吾に驚き、「秘密」でさらにのめりこみそうになったお話をしましたら、得意様が「お奨めにしたがって”手紙”を読んで感動しました。友人にも勧めたら後半では涙が出た・・・・って」と。


さらに、別のお得意様が「今度転勤することにになりましてね。東野圭吾のこと書いていらっしゃったから・・・・これ、よかったらもらってくれませんか」と10冊以上もある東野作品をくださいました。「引越しの荷物になりますから・・・・」とありがたいお申し出です。というより引越し・・・・とはいいつつステキなプレゼントです。お話を聞くと、さすがに漏らさず東野作品を読んでいらっしゃる方のお話は評することに的確です。このお客様のお奨めで次に読んでみた「白夜行」は休憩時間が待ち遠しくなるほどの面白さでした。さらに傾倒しそうです。


様々な処で話題になっていた新書清水義範「行儀よくしろ。」は確かに素晴らしい。


井上ひさしが「難しいことを簡単に、簡単なことをよりわかりやすく」(だったと思うのですが)とよく言っていますが、その通りの文章です。あまりにわかりやすい書き様で、「そうそう俺もそう思ってたんだよね」とうっかり思ってしまうほどです。


題名とは反対に「今の若者のマナーはメディが大声を上げるほど低レベル化しているか?」「いい子の方が多いぞ」「ホントに学力は昔に比べて低下しているのか?」「実は違うんじゃないの?」「若者が”ムカツク”のは大人の社会がイライラしっぱなしだからじゃないか?」「継承すべき自国の文化を持ってこそ人々が美しく見えるんだよね」などなど、筆者はあくまで謙虚に、平易に、人々を非難することなく話を進めます。声高かに統計と論理を元に自説を構築したり、非難批判の嵐の評論よりもずっと説得力があるのです。


「世の中大変だ」「これじゃだめだ」「世も末だ」「若いヤツは日本をだめにする」「お先真っ暗、こうしろ、ああしろ」と言われるより、「今の世の中そう悪かぁない。自信を持って積み重ねたことを思い出してみようよ」と言われたほうがすんなり心に入るに決まっています。


実際、メディアが若者世代の堕落にに危機感を煽り立ていても、自分の周りを振り返ると、私ン処のスタッフは皆いい子で、どこに危機感などあるんだ、と思えますし、我が子でさえ「こんな親なのによく育ってくれている」と、自制していなければ、ウチの子(犬)の10倍は親ばかぶりをお見せしてしまいそうなのが実態なのです。


この本は「いい大人」(よき大人ではななくて”もういい大人なんだから”という風に使ういい大人)は皆読んで欲しい本であります。お奨め。