営業努力


職人などというと、いわゆる「営業」などとは無縁の存在であります。


地道にいい仕事さえしていればお客様は自然についてきてくれるもの・・・・と脳天気に大名商売をしがちです。ひどいのになると、気難しくお客様と接することが職人の”ウリ”などと勘違いする場合さえあります。
 


この方の日記に以前、「建築家 安藤忠雄の営業努力は凄いもんである」というお話が書かれていたことがあります。安藤忠雄のように第一級の建築家ともなれば、ほとんど芸術家の域で、営業努力などしなくても建築以来は断りきれないほどくるもの・・・・などとお気楽に考えていたのは大きな間違いで、営業努力があるからこそ今の地位があるのだと目から鱗が落ちるような思いでした。


TVによく現れる料理人など、「店にいる間があるのだろうか」「店舗の多角化や拡大は上手だけれど果たして美味いのだろうか」「職人ではなくてメディアに魂を売ったビジネスマン」と、とかく否定的に見ていたのですが、メディアでの売り込みを営業努力の一環と考えれば、一職人など及びもつかないほど厳しい経営環境を真剣に見つめているのだと考えるようになりました。営業的な努力を何一つしていない私が気軽に否定できることではないのです。


今の厳しい不況の中、手法は様々なのでしょうが、営業努力を積み重ねた店が生き残り、「いい仕事」だけしか頼るところがない店は消えていく可能性があります。消費者の傾向も変化し「営業」に敏感に反応するようになっています。


勝ち組と負け組、気づいたときには負け組に入っていないような努力にはどういう取り組みが必要なのか、地道で真面目な仕事だけでもいいのですが、それを知ってもらう営業努力も必要ではあるはずです。


どんないい仕事も店が成り立ってこそいい仕事なのです。