もうひとつの四年の歳月

農口流「如」（のぐちりゅう　ごとし）と大書されたラベルのこのお酒は、四年の歳月を経て初めて現れました。

菊姫の杜氏を長く勤め引退後、加賀市　鹿野酒造へ請われて入った能登杜氏の名匠　農口尚彦さんのことは何度もこのサイトで紹介しました。

日本中の杜氏から尊敬される農口さんが鹿野酒造に移ってまもなく、凄い山廃を造って寝かせているらしいという噂は聞いていました。

味わいは今流行の淡麗、スッキリ辛口、香る吟醸香・・・・・ではなくて、骨太な日本酒の旨味をしっかり備えた重厚な味に仕上がっています。山廃というのは本来こうあるべきものなのかと、改めて教えていただいたような気がします。日本酒好きがひとくち口に含んでニンマリしそうです。かといってネガティブな意味の日本酒臭さ微塵もありません。きれいなのに芯が通っているのです。

「こいういうものなのだよ、酒は」と農口さんが語っているようです。

昨日お話した件のお得意様が好みそうなタイプです。手に入るのが一歩遅かった。

日本酒を心から愛し、理解される方だけにお出ししたい一本です。