ルフレーヴ


フランス ブルゴーニュ ピリニー・モンラッシェ村にルフレーヴという白ワインの造り手がいます。世界でも最上級の賛辞で称えられるドメーニュの一つです。


今、私ン処のセラーにはルフレーヴの造ったピュセルという名前の一級畑、1995年と、バータル・モンラッシェという特級畑、1995年が寝かされています。


白ワインでも両畑とも最低でも8年、できれば10年以上の熟成を経てから飲むべきであるといわれています。若いうちに飲んでも美味しいのですが、正しい熟成を得たときの爆発力はえもいわれぬもので、以前にお客様に飲んでいただいた、ビアンヴィヌ・バタール・モンラッシェ(特級畑)1988年など、口に含んだ瞬間声が出ないほどの驚きに満たされたものでした。


で、
今あるピュセル1995年もそろそろリストに載せたいと、試飲してみたのが8ヶ月前。十分美味しいとは思ったものの、ルフレーヴ本来の味の厚みが今ひとつ感じられませんでした。


昨日おいでいただいたお得意様は赤ワインはもちろん、白ワインへも深い造詣をお持ちの方です。


「ピュセル、どお?もう飲み頃なんじゃない?」と聞かれ、正直に8ヶ月前の印象をお話した上で、開けていただきました。


飲んでみると8ヶ月前とは明らかに表情が変わっています。味の厚みも膨らんで、蜂蜜香のようなものまで感じられます。抜栓後30分すると周りを覆っていた雑味が消えてさらにエレガントなワインへと成長します。


これならルフレーヴです。


胸を張って「どうです、いいでしょ」とお客様にお出しできます。


ただし、この手の白ワインを正しく評価するというのは赤ワイン以上に難しくもあります。私自身がそうでした。飲んでいただいたのがちゃんと理解し評価できるお客様でよかった。


なにしろ店の値段では¥20000という値段のついたワインです。美味しいのかどうかわからないで白ワイン一本に¥20000円は高すぎるでしょう。


が、
ルフレーヴの力とその評価をご存知の方には、ピリニー・モンラッシェ ピュセル1995にこの値段は料理屋価格としては正当なものと感じていただけると思います。


二年後くらいにピークをむかえるバタール・モンラッシェはさらに楽しみです。値段はさらに倍。


ルフレーヴというのはそういう白ワインなのです。