昭和の匂い


全く興味のなかった宮本輝の小説だったのですが、ある方に「”錦繍”はいい本だからだから読んでごらんよ」と言われて手を伸ばし、感動したのが半年ほど前。続いて長編”流転の海”三部作”流転の海””地の星””血脈の火”を読み終えました。


読んだな・・・・と手ごたえのある名作でした。


一人の実業家とその家族を主軸にし、終戦直後からの復興期を舞台にした小説なのですが、私の子供の頃の日本の空気とか匂いがしっかり感じられます。特に大坂の気風というのは強烈です。少し前に読んだ山崎豊子の名作「ぼんち」でも描かれていた、昭和初期の大坂の気質を思い出しました。


今のように流通も情報も豊かに大きく流れる時代と違って、昭和の中頃まではちゃんと地方による特性がくっきりあった時代だったのです。


東京だけに物と文化が集積しているように錯覚するかのような今の風潮は、本当にこの何年かのことです。


丸ビル、汐留、六本木ヒルズで見られる様に、異様なお祭り騒ぎが時代の最先端のように勘違いはしたくないものです。


しかし、あの浮かれ具合をはたから見ていると実体のないバブル期の頃を見るようで、正常には感じられません。


片田舎から「フッ」っとため息をつくように眺めていよう。。。。ひがみ半分で。