エディ・メルクス
思わずウィンドウにべったり顔をつけるようにウットリ見惚れていました。
「エディ・メルクス」 神様と言われたベルギー人天才自転車レーサーの手になる自転車です。家族の自転車は全部そこで手に入れている、親子三代のお付き合いの自転車屋さんに飾られていました。
「機能が優れてものは美しい」という典型のような惚れ惚れするフォルムとカラーリングです。
このタイプはまだ日本にこの一台しか入っていないのだそうです。私も目が高い・・・・などと自慢している場合ではありません。物欲の塊のような私の悪い性根がまた出てしまいそうです。
昔は、おもちゃ屋さんの前で子供が同じように、べっとりウィンドウに顔と手をつけて欲しいおもちゃを眺めたものですが、今ではどんなに欲しくても買ってもらえないほど高価なおもちゃがなくなってしまったようで、そういう子供の視線を見たことがありません。
私の世代はいい大人になっても未だにウィンドウにべったりです。
三年程前に長年愛用したロードレーサーを鍵がついたままに盗まれてしまってから、ずっと子供の自転車を借用していて、自分の自転車がいまだ買えないままです。その間に子供達には三台も買い与えているのに。。。。。自分が自転車好きだものですから、子供にもチャチなものは与えたくないという見栄っ張りのせいでもあります。
年を取ってくると、町中で乗る自転車は、タイヤもそれなりの丈夫さで、ハンドルもT−バー、色も落ち着いた。。。。などと思っていたのに、飾られていたエディ・メルクスを見ると本来ロードレーサー嗜好でもないのに、過激なぶっ飛び自転車に血が沸いてしまいます。
若い頃、憧れても絶対手に入らないと思っていた、チネリ、コルナゴ、エディ・メルクスがほんのちょっと近くに感じられるようになってきました。体力は落ちてきるのに、それに反比例して早い自転車が欲しくてたまらなくなってしまっています。
困ったものです。今必要なのは「悪魔のささやき」に対する「分相応」という言葉。