漁港の側


「漁港の側の料理屋だから新鮮な魚を使っているとは限らない、地物の魚だけを使っていることはない」


というようなことを掲示板で書きました。


昨日のローカルニュースで紹介されていた料理店の一つは、焼津漁港に隣接しているそうです。漁港の側だから美味しいと紹介された海鮮丼は11種類の魚介類で構成されています。


鮪、ハマチ、蛸、イクラ、鯵、白身、甘海老、烏賊、生シラス・・・・・


新鮮?地物はどこ?
生シラスだけは間違いなく地物で、新鮮でなければ使えませんが、その他は?


1000円台の海鮮丼を地物の魚だけで作れるわけがありません。原価を切ったって無理です。


その店の売りはきっと「安くて 美味い 誰もが気軽に寄れる」です。メディアの「焼津港の新鮮な」という取り上げ方と紹介の仕方が間違っているのです。安くて美味しいでお客様に支持される店は悪くありません。下手をすればウソをついているとなりかねないメディアの伝え方がいけません。


地物にこだわるなら、焼津の目の前、駿河湾桜海老を食べて育つといわれる活け鯵だけでも、ちょっとした鯛よりもお値段はお高いのです。漁港で魚を仕入れたからといって値段が半分になることはありえないのです。


もう一軒は用宗港の側。


できるだけ地元の魚を使ってという店の人気定食と紹介されたのは、鮪のお刺身と冷凍海老の天麩羅。地物のお魚も使っている店なのですから、やっぱり取り上げ方が間違っているのです。


素材を生かしてシンプルに、という店のお奨めメニューは、釜揚げシラスと大根おろし、葱を餃子の皮で包んで揚げた揚げ餃子。


これってシンプル?


まっ、それはさておき
漁港に近くても遠くても、市場の側でも離れていても地物、天然物だけでお手ごろ価格の店を作るのは至難の業です。


一番いい魚、美味しい魚が高くなるのは仕方のないことなのです。


TVで取り上げる店はみんな美味しいと思い込む視聴者は、こうして正しくない情報を鵜呑みにしていきます。


お客様がどの程度の料理を美味しいと思い、どの程度の値段を正当と思うかはそれぞれではありますが、養殖、冷凍物、送り、どの市場にもある食材がほとんどで、ホンノちょっとのお安い地物を提供する店を「天然物、地物を使うから美味しい店」と紹介するのには問題があります。メディアは「ウソは言っていない情報」ではなくて「正しい情報」提供しなくてはいけません。というより、情報を発信するほうが食べ物に正しい認識をもっていないことが問題なのです。


店側が調子に乗って「ウソは言っていない情報」を撒き散らすのはもちろんもっての他。