競演


小さくてもステージで楽器を弾くのは10年ぶり、それ以上かもしれません。


仕事の忙しさにかまけて特定のグループにも参加できず、絶好の相棒も見つけることも難しくて楽器を触ることさえままならない・・・・といのは言い訳で、才能のなさに見切りをつけただけなのです。


それでも昔とった杵柄とやらで、人前で演奏することに緊張感がないというのか、恐れを知らないというのか、ハッタリで押し通すことだけは未だにリッパにできます。


曲目はジャズ・ピアニスト ビル・エバンスの名演で知られる"My Foolish Heart"(愚かなりし我が心)目をつぶってもできる名曲ですが、楽器を久しぶりに出していざ練習をしだすと、コード・プログレッションの分析が面白くって何回弾いても飽きることがありません。


ステージは息子が通う中学の合唱コンクールへの特別出演、学校も奇特な事をしてくれます。相棒はもちろん息子、ピアノ〜ベース デュオです。


ジャズとはいっても、息子のピアノは譜面を弾くだけのものではあるのですが、初めてのステージ上の親子競演です。実際の演奏は、まだ技術がおぼつかない子供と、腕が鈍った父親の二人してヨタヨタのデュオでした。


私が息子と同じ年頃にはすでにジャズにのめり込んでいました。ただ、当時はどうやって演奏していいのやら皆目見当もつかない時代でしたので、演奏する喜びを知ったのはその後数年してからでした。果たして息子が音楽を一生の共にするのかどうか、この先わかりませんが、「そういえば、昔オヤジの相手をしてやったことがあったなぁ」くらいの思い出が残ればいいな、と思っています。


よく息子が成人したら、共に盃をかたむけることを夢見るなどという父親の話を聞きますが、私にとっては酒よりも音楽のほうが数倍嬉しい気がします。


家族のお話をするのはとても気恥ずかしのですが、親ばかの戯言ということでお許しください。