やってみてわかること


ランチをやってみて驚きました。


たった二日だけなのに、身体の使い方、気の使い方、料理への集中の仕方、すべてが全く違うのことがわかりました。


一般の方が外から見れば、「同じ日本料理じゃん」と思われるでしょうが、やってみて身体を動かしてみなければわからないものです。


普段の仕事は、予約のお客様のために朝から仕込みを始め、30―40品目の魚や野菜肉類をコースを組み立てるためにシステマチックに考えながら作っていって、お客様がお見えになってっからも、2〜3時間の間緊張感を保つことを日常にしています。


仕出しや、予約で承るお部屋でのお昼のお弁当も2時間くらいをかけて作り上げます。


ところがランチの丼となると、丼ひとつに集中力を高め、一瞬の火入れや盛り付け、漬物の組み合わせと相性を考えたりするのです。仕込みから召し上がっていただくまでがあっという間です。


時間が長くて、品数が多いから大変だとか、丼ひとつだから簡単だ、というのでは全くなくて、まるで、100mを全力疾走するのと、10000mを駆け引きをしながら走りぬくのとの違いのように、トータルの緊張感では同じなのに別の競技みたいなものです。


これは予想以上に面白くて難しそうです。


ランチの達人が早速来店してくださって、過分なお褒めの言葉を頂戴しました。(ちょっと恥ずかしいほどですが)


決して悪口を言わない方なので、話半分に受け取っていただくとして、私のランチ丼の理想型はまさにこの言葉通りになることです。


新しい商売を始めたように面白い。