需要と供給

clementia2002-10-18



今日の白川(白甘鯛)は3kgです。


このサイトを立ち上げた頃、なかなか手に入らない魚。食べられたお客様はラッキーなどと書いていたのにもかかわらず、この一年は頻繁に手に入るようになりました。


それでも、昨年の3kgを越える白川は「一年に一本あるかないかである」・・・・と勿体をつけ、3週間ほど前に入荷した3.7kgを一年ぶりの最上級と書いたのに、それから毎週3kgオーバーが手に入っています。これで三本目。


一年に一本あるかないか・・・・などと言ったのはきれいさっぱり訂正します。


でも、
以前は本当に手に入らなかったのです。


「あれば欲しい」
「いくらでもいいモノは買いたい」
と言い続けてきた結果ではないかと思います。


漁師は売れるものであれば、高価な魚を吊り上げたい。
売れない魚なら釣ろうとはしない。
高く売れるから釣ろうとする。


市場は売れるものは高く売りたい。
高すぎて売れないものは大都市圏へ回したい。
できれば高く売れるほうがいい。


魚屋は売れるもの、人気のあるものを売りたい。
高すぎて売れないものは買わない。
自分の店の客筋を見て仕入れる。


料理屋はできるだけいい品物を使いたい。
高すぎて原価に見合わなければ買わない。
でも、いい品物を見ると心が動く。


値段のことばかりを言うのはとっても野暮なお話ですが、この白川の昆布締め三切れの単価が居酒屋さんの一人分の客差単価を越える・・・・と言ったら信じてもらえるでしょうか。


そういう値段のお魚なのです。


これに三陸の鮪をつけたお造りの価値をお客様がどれほど感じていただけるか、居酒屋さんで飲んで食べた腹いっぱいになって酔っ払ったほうがいい、という方にはアホみたいにバカ高いだけのお造りです。


いい品物を見て心が動いた板前がいたとしても、お客様の心が動くかは別のお話です。


需要と供給のバランスがここでガラガラと崩れてしまう危機感をひしひしと感じつつ、「やっぱり、自分が美味いと思うものをお出ししたい」という気持ちだけでふんばろうと思うのです。


意地・・・というよりは、ここで白川を使わずに原価だけで適当な魚を選び始めたら、料理への志を捨ててしまうのと同じであると感じてしまうからです。