マーラー9番


やっと「マーラーいやいや病」から脱したとはいっても、9番は私にとって孤峰のようにそびえたつ存在感をもったシンフォニーです。


友人に教えてもらって録画しておいた、小沢征爾がボストンフィルへのおき土産のように残した最後のマーラー9番をやっと聞き始めました。


仕事が終わってくたびれた身体には、この演奏は最初の一楽章目から濃密過ぎました。


小沢とボストン・フィルの信頼関係が手にとるようにわかるほど、両者が緊張感を持ちながらゆったりとたっぷりと音を響かせています。これほどの豊かな音を聞くことは久しぶりです。


息詰まるような緊迫感というのではないのに、演奏そのものの細部にわたる繊細さは何度も演奏することで積み上げられた成熟のゆえでしょうか。


どの演奏がすごくて、どの演奏がつまらないのか判断のつかないクラシック素人の私などにも、このマーラー9番の迫力は直に伝わってきます。


疲れた身体にはこれは凄すぎます。ニ楽章途中で疲れ果ててしまって聞くことを諦めました。これではあの四楽章を味わうことが出来ません。これこそ聞き流しすように聞いては申し訳ないような名演です。


ライブの演奏に見られる奇跡のような瞬間がこの演奏には存在するのかもしれません。。そう予感させます