水族館〜ひつまぶし


「そうだ、水族館に行こう」


というわけで、突然思い立って新幹線で一時間かけて名古屋へ。


出かけた名古屋港水族館は休館日でした。


「あちゃー、水族館にも休館日があるのかぁ。しかも夏休みのシーズンだと言うのに」という凄い身勝手な認識不足。


観光案内所できいても、目ぼしい場所は皆休館日です。


なら、なんか食べてやろう・・・・と思ってしまうのは食い意地のはった私らしい発想です。


しかし、時間は12時を過ぎ、いいレストランに予約を入れようにも、ジーンズにT−シャツ姿では行く場所も限定されてしまいます。


で、
出かけたのが熱田神宮そばの「ひつまぶし」で有名な鰻屋さん「蓬莱軒」さんです。


ついで、といては不謹慎ですが、圧倒的緑に囲まれて気持ちのいい熱田神宮にお参りをしながらたどり着いたその鰻屋さんは、1時過ぎだと言うのに暑い外に待つ客が20名ほどもいます。


駅前も、お宮も、周りの商店街も月曜日で閑散としているというのに、その一区画だけに人が集まっています。


名古屋の鰻と言えば「ひつまぶし」というほど有名で、お櫃に細切りにした蒸さない自火焼きの蒲焼が乗せてあります。はじめはそのまま、次に葱、海苔、山葵をのせて、最後に出汁をかけてお茶漬けにして食べる料理です。


神社に参拝者のご馳走として繁盛し始めたであろうその店は、いまでは神社に関係なくお客様を集めているようです。お客様が次々と入れ替わり、その賑やかさが店にもお客様にも活気を与えているようで、ファミレスの混雑とは違う地に付いた繁盛が気持ちがいいものです。


たまの来店や神社にきたからと寄るようなお客様には丁度よい値段設定と、その値段に見合った内容の料理がそれなりの満足感を与えてくれるのでしょう。


お客様の顔を見てから鰻を裂き、白焼き、蒸し、タレ焼で一時間近くかけることを真正面から取り組む鰻でもなく、安い値段と速さで勝負するお手ごろ鰻でもないのに、そこにやってくる筋のお客様の満足をきちっとつかんでいらっしゃるのは見事です。


栄の「いば昇」さんと共に名古屋を代表すると言うのがわかるような気がします。自分の満足する仕事以上に、客筋を見極めた料理を提供することの大事さは、コンセプトから設定する企業でなくてもちゃんとやっているのですね。