おにぎり


「おにぎりはコンビニで買うもの」「おにぎりを握ったことのない若い女性がたくさんいる」


などという情報はマス・メディが過剰に流したものだと信じておくことにしましょう。


かく言う私も、何の変哲もない塩むすびを「何だ!このうまさは」と驚いたのは実はそれほど前のことではありません。


奥湯河原の名旅館「指月」にうかがった時のこと。


もうこれ以上は食べられません、というほど夕食を美味しくたっぷりといただいた後、女将さんが「夜食におむすびでもご用意しておきましょうか」とおっしゃいました。


「いえ、もうそんな食べることはありませんよぉ」と私。


「私のおにぎり案外おいしいんですよ。ちょっとだけ用意しておきますから」と女将さん。


美味しいものをたくさん食べた後は不思議と消化もよいようで、床につく前に、「ひとつだけ」と海苔も巻いていない、梅干も、鮭も何もないっていない小ぶりの塩むすびをほお張りました。


その美味しいこと。


ご飯がちゃんとしていて、塩がちゃんとしていて、握り方と大きさがちゃんとしていれば普通の塩むすびが驚くほど美味しいのです。


気が付くと三個ほども食べていました。


翌朝「女将さん、おにぎり美味しかったです」と申し上げると、


「でしょ。私なんか旅行へ出かける時も、汽車で食べるように2-3個握って持っていくんですよ。変なもの買って食べるよりずっと美味しいから」とおっしゃいました。


それからは、自分用のおにぎりはもっぱら塩むすびです。


普通に炊いた(ちょっと硬めがいいかも)ご飯に、少し大目の(これがコツ)いい塩を手に擦り付けて小ぶりのおにぎりにします。塩もお米ももちろん選んだもの・・・・といっても普通に店で使っているものです。


家庭で炊いたご飯があまりそうだったら、熱いうちに塩むすびを作っておきましょう。お子さんがいらっしゃる家だったら気がついた時にはなくなっている筈です。


コンビニにある手を変え品を変えたヘンテコなおにぎりより絶対美味しい。