一目惚れ


映画「パニック・ルーム」はまだ見てないし、「マジェスティック」も「アイ・アム・サム」も「ルーブルの怪人」も「ワンス・アンド・フォーエバー」も「ニューヨークの恋人」も見てみたいと思いつつ、結局「ハイ・クライムズ」を休日に見てきました。いわゆる軍事法廷物。


最初の十数分間で物語の主人公のバックグラウンドをワンショットワンショットで的確に表現し、主人公の不安や喜びもカメラワークや俳優の一瞬の表情だけで表現してしまうのは、映画が上質な証拠です。おそらく原作なら何ページもの枚数を使ってじっくり書き込んでいるのでしょうが、技術を持った監督や編集者、脚本家に恵まれた映画では全くスピーディです。サスペンスはこうでなくちゃ。


などと、批評家っぽく見ていたのは最初のうちだけ、そんなことを考えるまもなくストーリーの中に引き込まれ、なんと言っても主演のアシュレー・ジャドの魅力に惹きこまれてしまいました。夫への愛情や弁護士としてのキャリアを演じるアシュレーの美しさと演技が素晴らしい。それ以前のアシュレーが出た映画の印象とは全く違うと言っていいほど素敵なのです。女優が輝く時と言うのはこういうモンなんでしょう。


法廷物にありがちな説明的になってしまいがちな展開や、裁判の審議はそんな簡単なもんじゃないだろうというような不消化な部分でさえ、アシュレーの魅力があれば問題ではありません。


後半に決定的な逆転劇があっても、「このシーンにこの効果音ならこれがエンディングではないよな」というような妙な映画好きの期待に、この秀逸な監督はチャント答えてくれて最後まで楽しめた映画でした。


とはいっても、この大賛辞は今回のアシュレー・ジャドに一目惚れしちゃったファンの言い分。これから見る人はそこん処を差っ引いて見てくださいね。