日本料理の飲み物 続き


12-3年ほど前、お酒の種類を増やしつつあった頃、飲み物のメニューをデザイナーに頼んで作ってもらいました。当時は一回作れば1-2年は充分使えると思ったのです。


その頃のメニュー


日本酒
磯自慢特別本醸造
出羽桜桜花
〆張鶴 吟撰
磯自慢 純米吟醸
菊姫 山廃吟醸
久保田 万寿
菊姫 大吟醸


白ワイン 4種類(ベルジェのフュッセ、ピリニーなど)
赤ワイン 7種類(ラフィット83 ラトゥール79 マルゴー83なんてのが・・・)
シャンパン 1種類
焼酎 吉四六(のみ)


などとなっています。


たった十年ほど前でこんなモンだったのです。それでも、居酒屋さんでなく、料亭に毛の生えた程度の店としてはよくやっていると自己満足していたのでした。


万寿も手に入れるのが大変で、菊姫大吟醸などその2-3年前から使い始めたとはいえ、リストに燦然と輝いていた気がしたものです。


しつこいようですがたった十年ちょっと前のことです。


それから2年ほどたった頃には、月変わりの日本酒がさらに15種類ほどは増え、4-5年後にはブームにも助けられてワインが30種類くらいにはなっていました。


お酒の面白さに気付いてしまったのですね。
それでも7-8年前のことです。その辺からお料理にあわせて日本酒を組み立てたり、日本料理にワインを今まで以上に積極的にお奨めするようになったのです。


焼酎のラインアップも充実し、ワインを十年後まで見つめて仕入れるようになったこともこの頃のこと、店の歴史からすれば極々最近のことなのです。


そうやって振り返ってみると日本料理店のお酒への取り組みなど、まだまだ日の浅い試行錯誤の段階でしかないのがよく分かります。世間の日本料理店の飲み物のあり方の現実に絶望するほど、取り組みは長く続いているわけではないのです。


「何でもいいから辛口の酒頂戴」と言われようが、「梅割頂戴、ウーロン割頂戴」と言われようが、料理店でさえ時流の波を察知するのに苦労していると言うのに、お客様の嗜好にとやかく言うほうがどうかしているのかもしれません。


たった十年でも、昨今のお酒の変化のスピードは凄まじいものなのですから。


個人的には激変について行くというよりも、この革命的変革が面白くて仕方ないと思っています。いい時代に生きていると言っていいのでしょうね。