ジャム


昔かたぎ板前の悪いところで、分野外の料理についてはきちんと学んでいませんので、味だけの想像でこんな風に仕事をすればいいんだろうと勝手に思い込んでいることがあります。実際には一つ一つの仕事にそれなりの奥深さがあるもので、私などが味から想像する仕事の手順というのは大概いい加減なものです。


たとえば、ジャム。


苺のジャムなど、苺に好みの甘さに合わせたグラニュー糖をいれて火にかけて煮詰め、レモンの絞り汁でも入れればいいのだろうとずっと思っていたのですが違いました。


「アピシウス」の名パティシエ真野博さんレシピで作って見るとこんな風です。皆さんは自家製ジャムを作ったことがありますか?


苺   600g
ラニュー糖  480g
レモン絞り汁  1/2個


1. 苺はヘタをとって大きさがそろうように縦割りにする。
2. ボウルに苺を入れ、グラニュー糖をまんべんなく混ぜ、冷蔵庫にひと晩置く。ボウルはアルミ製でなくステンレス製を使用する。
3. ひと晩置くと苺から水分が出て、シロップ状になる。
4. シノワにいれてレモンの絞り汁を加える。そのまま15-20分ほど置いて、フルーツの固形物とシロップを自然に分ける。
5. シロップだけを鍋に入れて加熱する。鍋は火の当たりが柔らかで、安定しているステンレス鍋を使うとよい。銅鍋なら内側がステンレス化工のものを選ぶ。
6. 沸騰したら、表面に浮いてきたアクを丁寧にかき混ぜながら煮詰めていく。
7. シロップがなべの側面についたままだと、そこから佐藤が結晶化したり焦げたりしやすい。時おり水でぬらした刷毛でふく。
8. 徐々に色が鮮やかになり、つやも出てくる。粘りが出て粟も大きい。温度計で測ると116-118度前後になってくる。
9. この状態になったら取りおいたフルーツの固形分を加える。
10. 混ぜながら表面のアクを取り、数分間フィレの状態で煮て出来上がり。火入れをし過ぎないように注意。保存する場合には熱いうちに瓶に入れて密封する。


苺とグラニュー糖、レモン汁を適当に鍋いれ煮詰めるだけ・・・・という私のアバウトなやり方とはえらい違いですね。


これが、プロの仕業です。実際トライしてみると確かに美味いし仕上がりが違います。


逆に板前の仕事にしても、細かく言っていくと同じようにプロならではきめ細かな仕事なのですが、毎日携わっているとそれが当たり前のことになって特別なことに感じられないのかも?・・・・だといいな。