お金持ち


お得意様がお料理を召し上がりながら、話がスポーツのことになりました。


「親方は何かスポーツはやってるの?」
「いえ、今はウオーキングくらいでしょうか。○○さんはいかがですか?」
「あんまり時間がないもんだから、家に機械を買ってねぇ」
「ああ、あの自転車漕いだりするヤツですね」
「そう、婿たちともいっしょにできるし」
「へっ?・・・・・」
どうやら自宅に各種マシンをそろえたジムをお持ちのようでした。


「このガラス器いいね」
「はい、近所のガラス屋さんでいただきまいした。大正期のガラスらしいです」
「そういえばウチにもバカラの古いやつとかってあったな」
「凄いですねぇ。アンティックのバカラですか」
「うん、普段使いもバカラなの。シンプルだし、同じデザインがすぐ補充がきくから。孫が荒く扱うしね」
「!!・・・・・・・」


「この前清里まで日帰りで行ってきてね」
「よくお疲れじゃないですね」
「うん、ロールスだとあんまり疲れないね」
「!・・・・」


「どうも、○○温泉って私のものらしいんだよね。(お父様の遺産?)」
「!・・・・・」
この方が普段使いにしていらっしゃるルイ・ヴィトンのバックやらタニノ・クリスティーの靴、多分お洋服もお高そう、はブランドが自己主張していなくてすごく自然で使い込んでいらっしゃいます。


この方々にはお金持ちであることを自慢しようなどという気持ちが微塵も感じられません。普通のことだと思っていらっしゃいます。こういうのがホントのお金持ちなんでしょうね。


一方、


「親方このお酒いくら?高いの?高いやつ持ってきてね」
「美味しければ値段はいくらでもいいんだから」
と言いつつ
「俺なんかにわか成金の海千山千だから」

こういうお客様のご自分の認識の仕方もかえって気持ちいい。