小説家


ガス・ヴァン・サント監督、ショーン・コネリー主演「小説家を見つけたら"FINDING FORRESTER"」をヴィデオで見ました。


ロードショーでは人気もなかったのか上映期間が短くて映画館では見逃してしまっていたのですが、予告を見た時点で興味をそそられていた映画です。


デビューの小説一作でピッツアー賞までとり、その一作だけで巨匠の仲間入りをしたにもかかわらず、その後筆を折り世間との接触を絶ってしまった小説家と、隠れた文才を持つ黒人少年の交流と成長を描いた佳作です。


文筆家のストイックな生活を描いた作品には基本的に惹かれるようで、ジョン・アービングの「ガープの世界」(ジョージ・ロイ・ヒル監督〜ロビン・ウィリアムス主演)なども大好きな映画のひとつです。


欧米では小説家というのは寡作であればあるほど尊敬されるらしく、「ガープの世界」で描かれる主人公も教師をしながら、ひとつの作品にあせることなく何年もかけて書上げることが当然であるように見えます。芸術性の高い文章というのはかように搾り出すように生まれてくるものなのだということでしょう。


小説家を見つけたら」の中にも、黒人少年の創作ノートを老小説家が添削するシーンや、彼がバスケットボールに熱中しながらも古今の名作に習熟し記憶していることを示すシーンなどが印象的に出てきます。


文章の持つ力を見極めることができる人にとっては、書くということの重みと濃密さというのは中半端なものではないわけで、日記であるからと言い訳しながら駄文を重ね公表する私のようなものとは訳が違うのですね。


書くということの奥深さ、その入り口さえ私には見えていません。