中国茶の誤解


再び更なる中国茶のブーム・・・・というよりは大企業の新たなる中国茶戦略で頻繁にCMを目にします。


今度は中国緑茶だとか。


曰く、「中国の人はほんとうは緑茶をのんでいる」「緑茶には何百という種類がある」と。


今もっとも定着した凍頂烏龍茶というは台湾で親しまれるもので、中国本土全体から見れば極マイナーなお茶です。しかもとてもいいものは高価です。


香港に行けば料理店の多くで普通に提供されるのはプーアール茶です。


発酵の具合だけでも緑茶、白茶、黄茶青茶、紅茶、黒の六種類、銘柄は千種類を超えるといわれます。


確かに、生産量の一番多いのは緑茶で、中でも龍井茶ロンジンチャ)は緑茶の生産量の6割を占めるのだそうですが、実際には各地にそれぞれ生産されるお茶があって、日本のように全国一律やぶきた茶というのとはかなりかけ離れています。


ですから、緑茶の種類がたくさんあることは事実ではあるのですが、一般市民が皆そろって緑茶を飲んでいるという事実はないし、日常で飲もうというお茶を、お茶屋何百種類の中から選ぶということはないようです。


文化革命以降、茶館がブームをよんもてはやされるということがありますが、日本で喫茶店が全国にたくさんあってコーヒーを飲むようなものとは違います。


では、飲茶があるではないかといえば、飲茶自体が広東料理の系譜の中の一部であって、やはり中国全土のものではありません。


どうも、CMから受ける印象とは違います。


昨日中国料理の職人さんたちから聞いた話では、中国様々な地で、食事中も食後も日本人のようにお茶を飲むという習慣は、特に家庭ではないそうです。


さらに、冷たく冷やしたお茶を飲むというのはありえないと教えてくださいました。


中国ではお茶は日本比べたらはるかに種類も多く、地域によって様々な発展の仕方と飲み方があって、広大で長い歴史をもつ国では一様にお茶について語れないというのが事実です。


ウーロン茶が中国茶だと信じさせてしまった大企業とメディアが、今度は緑茶こそが中国茶であるといっています。みんな販売のための戦略であって、CMは中国のお茶の事情を何一つ正しく伝えていません。


大企業の作ったペットボトル入りのお茶を好んで飲むのは自由ですが、美味しい各種の中国茶を自宅で楽しむほうが間違いなく舌も心も豊かにしてくれます。そして味のバラエティは、半端な知識では中国茶を語ることなどできないと教えてくれます。


間違ってはいないけれど、誤解をあたえる中国茶の様々なCMには問題があります。