ラッセ・ハルストレム
たまに日曜日に映画館へ行こうとするとその混み具合にたじろぎます。
近所のシネマコンプレックス ヴァージンシネマは数本の映画が同時上映されていて、当日予約のみができるので、休日の朝のウオーキングがてらにチケットを買いに出かけました。
ふだん出かける月曜日なら上映直前でも間違いなく即チケット購入できるのですが、日曜日とあって70―80人近い列ができていました。
並ぶほとんどの人たちが、「ロード・オブ・ザ・リング」「モンスターズ・インク」「ハリー・ポッター」であろうと思ったのですが、いざ、上映時間にお目当ての「ザ・シッピング・ニュース」の会場に入るとホールの喧騒がウソのようです。
観客は20人ほど。
やっぱりこの手の映画は人気がないのね。
「ザ・シッピング・ニュース」はラッセ・ハルストレム監督の最新作です。
これまで見た、ハルストレム作品「ギルバート・グレイプ」「サイダーハウス・ルール」「ショコラ」(「アバ・ザ・ムービー」は別物か?)も含めすべて、ヒーローになれない人、片隅で人生を生きようとする人を題材に、土地(故郷)と人々とのしがらみ、むごいほどの過去が織り成すドラマです。
原作も脚本も違ってもハルストレムが描けば、ハルストレムのカラーが全編に渡っていて、人へのいたわり、ささやかな勝利と達成感、苦しみながら生きる人々への共感と慈しみが切々と感じられてどの映画も秀作というのにふさわしいものです。
「シッピング・ニュース」ではケビン・スペイシー、ジュリアン・ムーア、ジュディ・リンチ、スコット・グレン、ケイト・ブランシェット・・・・すべての俳優も素晴らしい。
「もし風景を正しく掴むことができれば、登場人物たちはそこから歩み出し、正しい場所に収まるでしょう。ストーリーは風景から生まれるのです」
原作のアニー・ブルーの言葉だそうです。
20人の観客は風景と人を味わうことができました。