メヌケ
北海道産のメヌケをちり鍋にして試食してみました。
この辺で言うとアコウに似た魚体、身質はアコウよりももう少しきめが細かくて、脂ののり方が素晴らしいものです。同じ北海道産のキンキのような脂ののり方といってもいいかもしれません。
今年になって何度か手に入っていて、蒸したり炊いたりしていたのですが、東北の遠野出身であるすし屋のキクちゃんに「どういう食べ方が美味いんですか?」と尋ねると、「そりゃ、鍋ですよ、鍋」と聞いて試してみたのです。
たっぷりの昆布だしにメヌケのひと塩と各種の鍋野菜、ポン酢でいただくと、そりゃもう抜群です。
間違いなく鯛ちりより美味い。ふぐちりの淡白さと好対照の脂ののった白身を楽しむことができます。そういう白身ですから当然最後の雑炊も素晴らしい。
鍋料理をお客様に提供することはあまりないのですが、これだけ美味しいと考えてみなくてはいけません。
恥ずかしながら、つい最近「お宝探偵団」で見るまで存在さえ知らない日本画家でした。
死ぬまでの20年間を奄美大島で極貧の中、中央画壇をあざ笑うかのように芸術に打ち込んだ一村の生き方に打たれただけでなく、アンリ・ルソーを思うわせるような色彩と大胆な構図、独特の光の捉え方が印象的でありました。
しかし、今回絵の一枚一枚、デッサンの一つ一つを見てみると、個体そのものへの綿密で執拗なまでの観察と筆遣いが素晴らしいものであることをしりました。
以前に読んだ加藤周一の評論に宗達を評して「精密画風の部分の扱いと抽象画風の極端に様式化された形を駆使した独創性」という言葉があったような気がします。そして、その大和絵の系譜は「源氏物語絵巻」にさかのぼることができるとも。
一村の絵は宗達にも源氏物語絵巻にも一致しませんが、概念的にはまさに大和絵の系譜の中に属すると言ってもいいのではないかと言うのに今回気が付きました。