ソムリエさんがやってきた


ソムリエさんが店においでになり、様々なワインのお話を伺うことができました。


私のところでもそこそこのワインを置いていますし、フランスの一部の地域についてのみでしたら、ある程度お客様のお相手ができるほどの知識は、自然と身についているような気もします。


が、
やっぱりソムリエと言うプロフェッショナルの底力は全く違います。


基本的な情報量、舌と鼻の感性、お客様に対するサービスマンとしての心構え。


私たちが客としてお店を訪れた時、相手をしてくださるソムリエさんは、客それぞれに応じたレベルの話題で楽しませてくれているのです。決して知識をひけらかすためや、味覚の鋭さを見せるためではありません。おそらくお客としての私たちの好奇心をくすぐり、手のひらの上で上手に転がしてくださっているのだと思います。


プライベートで見えて、お酒の上でのお話の断片断片にその辺のところが見え隠れします。


一介の板前である私など、ワインが好きというだけで、私のところにお見えになるお客様にはいっぱいいっぱいのところでしかお相手していません。下手をしたら知識のすべてのひけらかしているだけかもしれないと思うと冷汗が出ます。


やっぱり、板前は板前。包丁を握っている処でしか認めてもらえない、と言うことをきちっと心にとめておかないと大恥をかいてしまいます。


ごいっしょにお見えになったお客様が「でも、親方のお酒についての話っぷりって、好きでたまらないっていう楽しさと愛情があるように思う」とおっしゃってくださいました。


そうだ、ワインへの愛情の深さでもソムリエさんには負けてしまうけど、自分が楽しいっていうおかしな自己満足だけなら大丈夫のような気がします。私が楽しいのを見てお客様が面白がる・・・それで乗り切ってみよう。