怒鳴る


修行時代よく怒鳴られました。


先輩に「お前ほど打たれ強いヤツは見たことないなぁ」といわれたことがあります。


つまりそれだけ怒られている、失敗が多かったと言うことなのですが。


先日の勉強会で修行中の若い職人さんたちと同席になり、聞いてました。


「○○さん(その職人さんの親方)って調理場で怒る方?」


「はい、ときどき怒鳴られます」


「僕のところはたまに手も出ます」


「ウチはお客様から調理場が見えませんからしょっちゅう」


どの店も結構怒鳴られ、怒られてるようでした。


職人と言うのはそうやって仕事を覚えるものだというのがこの世界では当たり前です。


私は・・・・・


調理場ではほとんど怒鳴りません。


怒鳴るのはあまり好きではありません。


若い者が失敗することはよくあるのですが、失敗の原因は本人の集中力の欠如だけでなく、仕事を与えた私にも原因があることがよくあります。


若いものの実力をしっかり把握して、それに応じた指導の仕方をしていないための失敗。


失敗が予測できる人間にはそれなりの育て方を考えるのが指導者の資質でもあります。


失敗を怒る前に、失敗の原因は自分にもないか・・・・と考えると、ずいぶん自分に原因があることが多いのです。


実際、修行時代のことを思うと、理不尽に怒られていやな思いを残したことのほうが多かった覚えがあります。人間性まで否定するような怒られかたをすると、残るのは恨みだけだったりします。


怒鳴っても後腐れない気持ちのいい怒り方ができるようになったら、もっと怒鳴って育ててもいいのかもしれませんが、まだまだそんな豊かな人間性はとても持ち合わせません。


私ン処の若いもんに言わせたら「親方、十分怒ってますよ」っていうかもしれませんが。