日本酒売れ筋ランキング
雑誌「dancyu」三月号の日本酒特集の記事の中に、「日本酒売れ筋ランキング」が掲載されていました。
日本酒ファンが通う全国の有力酒販店20軒による統計です。
日本酒売れ筋ランキング(全国有名酒店による) 一升瓶編
1.久保田 千寿
2.八海山 本醸造
3.八海山 清酒
4.〆張鶴 純 純米吟醸
5.神亀 純米清酒
6.王禄 超辛純米
6.久保田 万寿
6.十四代 本丸
9.飛露喜 特別純米無濾過生原酒
10.八海山 吟醸
新潟酒圧勝です。
久保田、八海山を置く酒販店、さらに十四代、王禄、飛露喜などの取引がなかなか難しいお酒も扱うことができる酒販店の統計であること。値段による区分けをしていないことなどを考慮しても、一般消費者の新潟酒信奉が依然根強いことがわかります。
確かに、居酒屋さんへ行くと八海山や久保田はメインを張るお酒ですし、久保田を全種類並べることを命題にしていらっしゃる料理店もあります。
私ン処でもぬる燗用に久保田 百寿を置いていますし、八海山は初しぼりの時期にはお手頃日本酒として忘年会では人気酒、八海山大吟醸は常時置かせていただいている日本酒です。
自他ともに認めるいいお酒ですが、私の気持ちの上ではこれらは「どうしても新潟酒でなくては」と言う方のためのお酒で、久保田 万寿、八海山大吟醸だけで勝負するというのはすでに十年以上前に終えてしまっていると思っていました。
時代は1980年代後半の黒龍や各種の静岡酒などの各地地酒の時代、1990年代前半からの十四代、綿屋などの新進気鋭のシンデレラ、そして1990年代後半の飛露喜、王禄などの新たな新星へと確実に躍動の時代に入っていると認識していたのですが、一般消費者は未だ「新潟」であるという事実はショッキングです。
新たなスターたちの入手が難しいという理由はあるにせよ、人の舌と言うのはそう簡単に進歩的になるものではありませんでした。
そういう意味では、私ン処の日本酒のラインアップは一般消費者レベルから見れば少しは先を行っていると言えるかもしれませんが、逆にお客様に無理を強いているともいえます。
ホントは淡麗辛口が好きなのに、無理やり「芳醇旨口」を飲まされているのかも?
お客様の嗜好に迎合するだけでは店は成り立ちませんが、傾向と実態を把握しない店も成り立ちえません。革新的進歩的であるだけがよいと言うわけではないという事実は認識していなくてはいけません。
「久保田 万寿こそ最高のお酒です」というお客様に対してにこやかに
「おっしゃるとおりですね、お持ちいたしましょうか?」と余計なことを言わない板前・・・・・・うーーーん、できるかなぁぁぁ。