カキ限定


「えっ?夏季限定(カキゲンテイ)の日本酒ですか?」と私


「いえ、牡蠣限定(カキゲンテイ)です」と酒屋さん


三重県 「天遊林(テンユウリン)純米酒 牡蠣限定」


酸度3という酸味の効いた面白い日本酒です。


生牡蠣を食べるための日本酒があってもいいかもしれません。ましてや伊勢志摩をひかえる三重県の蔵です。


ワインでいえば昔から牡蠣といえばシャブリ。


しかも、グランクリュ(特級)クラスのいいシャブリではなくて、普通のシャブリ、よくてもプチシャブリぐらいが相性としては抜群といわれています。(個人的にはロワールのサンセールなどとの相性も大好きですが)


シャブリのきりっとした鋼のような酸味が生牡蠣の味を生かしてくれます。


これをイメージすれば日本酒でも酸の効いた味を牡蠣にあわせるのは正解です。


最近の日本酒では酸味が大きな決め手になってきています。酸と旨みのバランス、酸と辛味のバランスで味のイメージはずいぶんと異なってきます。


二つの味の兼ね合いでスペック比で現れない微妙な味わいを舌が感じるのです。


ここでも単純に甘い辛いだけでは日本酒が語れないことがおわかりいただけると思います。


料理との相性を考えたときワインが示すように、穏やかな酸味が料理の味を引き立たせてくれるのです。


満寿泉(富山)のようにはっきりとワインを意識した造りに取り組んでいる蔵もあります。


酒を飲むためのつまみとしての料理という考え方、酔うための日本酒という考え方が長く続いた日本では、料理と対等の相棒としてのお酒というとらえ方を根付かせるのには時間がかかるかもしれませんが、間違いなく若い世代はそういう方向に進んでいます。


牡蠣限定・・・・生牡蠣の美味いヤツを見つけなくては。