芋煮


秋の川原は気持ちがいいです。


風はほんのちょっと肌寒くっても、日があたる所はポカポカと暖かくて焚き火にはもってこいです。


この季節には「芋煮」です。


小学生の子供たちは火付けと火の番、ワイワイいいながらもマッチ一本だけで見事に火をおこしました。あとは飯盒の飯炊きを任せて私はなべ担当です。


川原でのんびりするためには下準備が大事ですから、前日に仕事をしながら処理を済ませました。


出汁は店で使ったあまりをペットボトルに詰め、芋は大野市上庄農協の里芋を六方に剥いて下ゆで、下味をつけてあります。牛肉も余り物ながら最高級の霜降りのスライス、北海道の軟白葱、白神山地の舞茸、信州の平茸、大徳シメジ。


あとはなべに入れてひと煮立ちさせ、薄口醤油と塩で味付けすれば完了です。


この素材、この出汁、この調味料でまずいわきゃありません。


あえて言うなら川原で食べるには上品過ぎて野趣がありません。


それほど上手に仕上がらなくても、外の空気と雰囲気が最高の調味料になったほうがいいのかもしれません。板前のこだわりはここでは下品になってしまいます。普通、飯盒で炊いたご飯なども、外で食べるから美味いんだといわれますが、昨日の飯盒メシはどう冷静に考えても美味すぎでした。オゴゲの絶妙さも加わって普段の三倍はご飯を食べてしまいました。


子供たちのざわめきを子守唄に昼寝して、本読んで、のんびりできた秋の川原でありました。