ラ・ベル・ドゥ・ジュール


料理屋さんに伺って料理その物に満足する時というのは、和食でも中華でもフレンチでもイタリアンでも、「手抜きのない皿」に出会った時です。


原価がこれだけだからこれくらいでもしょうがないか・・・・というヌルところがないとでもいうのでしょうか、そういう方の料理は前菜を見ただけで素性がわかります。前菜で予感させてくれるのですから続く料理に期待を裏切られる事はまずありません。


「ラ・ベル・ドゥ・ジュール」でのランチはそいういう体験でした。


アミューズにサーモンのシュー包み


絶妙に火を通してある薄切りのサーモンとオゼイユを、グリエールチーズを練りこんだシュー皮ではさんであります。白いお皿にサーモンのピンクシュー皮の黄色、手前にシュッと一筋のバルサミコのソースをひいて皿を引き締めています。サーモンとオゼイユってあのトロワグロのスペシャリティ?・・・・それを小さなアミューズにまとめてしまっています。


前菜に選んだのは赤ピーマンのムース


ベルナール・パコーのムースを想像したら大間違い、スープ皿に薄く柔らかく固めた赤ピーマンのムースの上にオマールと生うに、オマールと極上キャビアのトッピングがしてあります。特にムース・オマール・生うにのハーモニーは絶品です。


メインがリードボーのソテー、大事な人が手長海老、友人がアンコウとアンキモ
どの皿も本体へのしっかりした味付けと、あっさりしたソースのバランスが抜群で、火入れがこれ以上はないほどピッタリ決まっています。間違い無く今まで食べたリードボーの中かで一番印象的でした。手長海老しかり、アンコウしかり。付け添えに何が添えてあったか覚えていないほどウットリしながらナイフとフォークを動かしていました。


こういう風にシェフの技術の高さと一皿への集中力、盛り付けの大胆にして繊細な心配りを見せつけられると、重箱の隅をつつくような批評をするのは馬鹿馬鹿しくなります。自分の了見の狭さを露わにするようで恥ずかしくなります。


食べてをそんな気持ちにさせてしまう力量・・・・・欲しいなァ。