9月11日のライブ


スティングのスペシャル・ライブ”・・・all this time”を聞いています。


そのライブはあの9月11日にイタリア トスカーナで行われたものです。


事件を知ったスティングはライブの前に話はじめたそうです。


「このコンサートはとても楽しいものになるはずでした。しかし今日起こった悲惨な出来事のため、楽しいものではなくなりました。私達には三つの選択肢があります。一つは予定通りにショウをやること、もう一つはまったく取り止めにすること、そして三番目に思いついたのはそれらの折衷案です。私達はこの恐ろしい出来事で命を失った人たちと彼らを愛していた人たちに捧げ、世界中に流されるweb配信に乗せて一曲演奏します。そして演奏はそこで止めます。その後は皆さん次第です。演奏の後、1分間の黙祷をしたいと思います。拍手はしないで下さい。私達は、ただここに立って、今日起きた事について思いをめぐらしたいのです」


演奏されたのはあの”Fragile”


生身のからだに鋼の刃が突き刺さり
流された血が夕陽に染まって乾いていく時
明日にでも雨が降れば血痕は洗い流される
だけどぼくらの心を襲ったものは
いつまでも消え去りはしない


ことによるとこの最終的手段は
暴力はなんの解決にもならず
怒れる星の下に生まれた物たちにはなす術がないという
一生かけての主張をねじ伏せる物だったのかもしれない
人というものがこんなに脆いとぼくらに思い知らせようと


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スティングは黙祷の後、静かに問いかけたそうです。
「あとは皆さん次第です。私たちはどうしたらいいでしょう」


聴衆の圧倒的な拍手は鳴り止まず、バンド達にプレイを続けるように促しました。


200人だけのためのスペシャル・ライブは、そういう逸話を抜きにしても音楽的に素晴らしいものです。


狂信が人々恐怖に陥れたとき、一曲が人々の思いを救うこともあります。