知らなかっただけ


幼い頃、父が東京のお土産で買ってきたフランクフルト・ソーセージの美味しさといったら、魚肉ソーセージや真っ赤なウィンナー・ソーセージしか知らなかった子供には衝撃的でした。


高校当時、周辺から時間をかけて通学していた友人が「カレーにはシーチキンが当たり前であった」(昔肉屋がその街には一軒もなかったので)と聞いた時、また別の友人は「カレーって牛肉を入れるモンなの?豚肉が当たり前だと思ってた」と聞いた時。


小学校の頃、川原ですき焼きをやったとき(アウトドアなんて言葉はありません)友人が「すき焼きって牛肉だと美味いなァ」というのを聞いた時。


流通革命なんて思いもよらない頃、日本全体がまだ貧しかった頃、情報なんて洒落た言葉が無かった頃、日本人の食生活は今のように食材が豊富な時代とは全く違いました。


むしろ、この十数年が歴史的には異常な時代とも言えます。


話が大きくなってしまいましたが、本当の姿とか、正しく美味しいものを知らなかっただけというのはあらゆる食材に当てはまります。


で、
話題はチーズです。


昨日、「ジャンティ」久保田さんからチーズが4種類届きました。


イリドフランス(クロミエ)
ノルマンディ(ドーヴィル)
ロワール(パベドゲルシュ)
オーベルジュ(フルムダンベール)


正しい熟成を経ていただくチーズはこれほど美味しい。


一切れ食べるたびに「ウーーーン、これがホントの姿か」と唸ってしまいます。


学校給食にでたプロセスチーズも、「チーズの本物ってこれか」と感動していたフランス産カマンベールもそれはそれなりにチーズではあったのですが、熟成したこれらのチーズを食べて初めてチーズの入り口に立った気がします。


知らなかっただけの世界の扉が開いてしまいました。


魚肉ソーセージから自家製・豚の血入りソーセージに一足飛びって感じでしょうか。