先輩後輩


大体、力があると噂を聞く職人ともなれば、きっと厳しいに違いない、頑固に違いない、偏屈に違いない、気に入らないと怒鳴られるかもしれない・・・・


声もかけられない恐いイメージが先行します。


早朝に仕入れでよく見かける職人さん達は、例外なく熱心で寝る間を惜しんで仕事をしていらっしゃる方々です。(物理的に早朝が無理な方もいますが)


時々仕入れでお会いする、同年輩と見えるお寿司屋さんの噂は度々聞いていました。


仕事をきちっとする寿司を握る
素材は当然いい
で、
やっぱり頑固だ、と。


挨拶さえなかなか出来ないでいたのが、たまたま目が合ったのをきっかけに「おはようございます」と一言かけることが出来ました。


すると、
「○○先輩ですよね」
「えっ?」
「声をかけていいもんかどうか迷ってたんですが・・・・中学の時、部活でお世話になってました」


えーーーーー!!覚えてない。
お恥ずかしい。


もっとも私が三年生の時の一年生だとすると半年弱しか出会いがないわけで・・・・・というのは言い訳になりません。一年の時に楽器を私に教わったのだそうです。


全く物覚えの悪い奴です。


それでも、「仕事の出来る恐そうな職人さん」→「仕事の出来る後輩の職人さん」となるわけで、儒教の影響のある国はいい国です。


仕事の出来る出来ない、お金のある無し、人格のある無しに関らず、一年でも年長であれば一生「先輩」なんですね。


年もとってみるモンです。別にえばれる訳じゃありませんが。