店の評価


東京で店を持つ尊敬する方の料理店の「よくない評価」を耳にしました。


あんないい店なのにそんな風に言われちゃうわけ?とその店のご主人の努力と誠実さを知っているだけに悲しくなります。


お客様は簡単におっしゃいます。「あの店、味落ちたね」


実際に私などが伺ってみると、ほとんどの場合味が落ちたという事実(主観ですからその辺はさっぴいても)はないことが多いものです。


店が新しくなった場合
代変わりをした場合
メニューが変った場合
値上げ、値下げされた場合
スタッフが新しくなった場合
支店を出した場合(本店の味が)


店が変化したという事実が味への評価を厳しくするのか、ただイメージだけでとらえているのか。


評価というのはあくまで一般のお客様が下すもので、職人の目で見たときとは違います。


私が職人として見たときには、店の御主人の実力は皿の上である程度客観的に判断できると思っています。一皿に対する思い入れとか料理の理解度とか、意識の高さとか、ある場合には料理人としての歩み方まで思い描く事が出来る事があります。


さらに、コストとの兼ね合いで「この値段でこの材料をここまで手をかけて」十分よくやっていらっしゃる・・・・と。


が、
それはあくまで同業者としての目であって、一般のお客様は一品でも納得できない皿があれば、他の料理がどんなに美味しくてもだめ出しが出る事があります。


サービススタッフの立ち振る舞い一つでも、ナプキンのシミ一つでも、フロアのごみ一つでも、照明の具合一つでも・・・・・ダメな物はダメなのですからどうしようもありません。


店側が完璧を期すのは当たり前の事で、「このくらいいいや」とは決して思っていないのですが、行き届かない事もどうしてもあるのですね。


店として言い訳をするのはもってのほかで、ご批判ご批評には謙虚に耳を傾け、改善を重ねなければいけないのですが、あれほどの店もご批判を・・・・と考えると、私のところなど耳に入らないところではどれほど厳しい事をおっしゃられているかと思うと背筋が寒くなります。


片目をつぶって評価してくださいね、私ン処は。