噛む
「ドゥワァァァ!」
思わず大声をあげてしまいました。
板前になって初めて鱧に噛まれました。
しかも、続けて二回も。
地物の鱧は特に強暴、攻撃的です。
普段は向板に任せている活け魚を〆る作業をたまたま自分でやったのですが、タモ網に小さな穴が開いたのに気づかずに、そこから鱧がスルッと抜け出る瞬間にガブっと・・・・。
いてぇぇぇ・・・・!!
先輩諸氏から「鱧、鼈に噛まれると痛いぞーーーー、凄く痛いぞーーーー」と若い頃から言われつづけ、その鋭い歯をみれば誰が見てもゾゾっとしてしまうほど鋭いのです。
実際の痛みより、噛まれた事の精神的ダメージの方が大きいような気がします。
鱧だって、殺されちゃうわけですから当然必死です。
鱧の生命力というのはものすごくて、〆た後でもしばらくは暴れていますし、死んでいるはずなのに噛みつきそうになることがあります。氷水にしばらくつけた後、おろす時も身がそっくり返るほどです。
でも、そう言う風に活け〆にした元気のいい鱧だから美味しいのです。
20年以上も鱧にも鼈にも噛まれたことないのに・・・・・・・・・気の緩みなんでしょうかね。