おわら風の盆


八月の最初の土曜日、毎年「越中八尾のおわら」がこの街へやってきます。


「おわら」はなんといても八尾の街並みで見るものなのだと、現地で見たかは口をそろえておっしゃいますが、借り物のサンバや阿波踊りを真似するのではなくて、八尾の一つの町の方々がそろってやってきてくれ、9月の本番の予行演習よろしくそのものを演じてくださいます。


繁華街といってもはずれに位置するこの街は、落ち着いた雰囲気のある場所です。


この日の夕方は街を流していくおわらを囲むように人垣が出来て、胡弓や三味線、歌が生で聞こえる程度の静かなざわめきが街をおおっています。


むせび泣く胡弓、もつれ合う三味線、柳のようにしなやかな女踊りと、メリハリのある男踊り。しぼりだすような歌。風がそよぎだす夕暮れに別世界が創りだされます。


街を流して踊るのとは別に、輪踊りというのがあります。一つの場所で輪になって演じるものです。


今年も、私ン処の店の前で輪踊りを踊っていただきました。


店の前に椅子を置き、お客様に箸をいったんおいていただいて、たくさんのギャラリーもいるのですが、いわば私ン処のために踊っていただくようなもので、お客様に喜んでいただきました。


暑い夏を一瞬忘れさせてくれるような風が吹き通った時間でした。