本

この日記では本の話をあまりしません。

特に「これはお奨め本」のような書き方はほとんどしていないような気がします。

読書家などとは口が避けても言えませんし、作家が渾身の力を込めた作品もどれだけその真意を汲み取っているのか全く怪しいモンです。

そういう私が、「今読むならこれだ」などとは恥ずかしくて公にはできません。

さらに、ホームページの更新に時間を取られる分、読書量は明かに減っていて、本屋にでかけても読みたいと思える本に出会うことが少なくなってきていました。

まっ、読書スランプみたいなものでしょう。

そんなずいぶん長く続いている読書スランプを打破してくれそうなのが「宮部みゆき」です。

TVでたまたま見たドラマの原作「本所深川ふしぎ草紙」を手に取ったのが初めての出会いでした。

最近の「理由」の大ヒットをはじめ、まさに人気作家の一人だけに、かえっていまさら・・・・といういつものひねくれ根性のおかげで読まずにいました。

が、
一度読み出してしまえば、人気作家の人気作家たる所以はすぐ理解できました。

グイグイとストーリーに引き込む力があります。綿密な取材に基づく説得力、ミステリーとしてだけでなく社会問題にするどく切りこむ設定の巧みさ、辛口の論評に定評のある福田和也をして「中堅というには器が大きすぎる。・・・・まさしく現代日本文学の一方を背負ってたっており”宮部がいるから”という安心をもたらしてくれる。かつての松本清張が占めていた位置に最も近い作家である」と言わしめるのが納得できます。

休日、木陰のもとで読み始めた「火車」はその場を動きたくなくなるほどの濃密な時間を与えてくれ、夜寝るまでに読み終えてしまうほど面白い作品でした。

一日で読み終わるのが惜しいと思うような本は本当に久ぶりでした。

読みたい本が本屋にないのではなくて、「知らない」だけなのでした。

とはいっても、お奨め本を紹介するには読書力が・・・・という私の話です。話は半分で聞いておいてください。