心地よい蕎麦


二週連続で東京とんぼ返り.


いやなに「腰痛対策」のためだけなので、今回の昼食も簡単に蕎麦です。


それでも「転んでもただでは起きない食妄想板前」としては「行ってみたい店リスト蕎麦編」(自前)の中から西荻窪「鞍馬」へ。


二十年前の「藪御三家」→「翁」(東長崎当時の)を経て、いま数ある注目株蕎麦屋さんの中でいつも話題に上る店なのですが、店構えも、蕎麦本体も器も客筋もとっても普通。(西武の松井選手ご家族がいたりしましたが)


もちろんものすごくレベルの高い普通です。


蕎麦、汁、薬味どれをとっても手抜きが無くて素晴らしく美味しいのだけれど、素晴らしさに押し付けがましさが無い。


以前に島田の「宮本」さんのお蕎麦を緊張感に溢れた、触れると切れるよなお蕎麦と感じた事を書いたのと好対照です。


肩の力が抜けていてしなやか、知らない人がフラッと入って食べたらそんな名店とは気づかずに「案外美味い店だな」くらいで本当の評価をどこまで出きるかわからない位の店のような気がしました。


グルメランキング全盛時代、店の主人もこだわればこだわるほど、あの店よりよくしたい、一番になりたい、お客様に「一番美味い」と言わせたいという風に、自分の店でさえ比較でランキングを考えてしまいそうになるとき、こういうお蕎麦を食べるとドキッとします。


おそらくこの「鞍馬」のご主人は自分の店を他店との比較などで考えずに、「美味しい蕎麦を打ちたい」「お客様に美味しく食べていただきたい」だけを考えていらっしゃるのだと思います。


ご主人の頭にはグルメ評論家の「蕎麦はあの店よりいい」「汁の出来はあの店より」総合得点○○点、という評価は入りこむ余地が無いような気がします。


確かに、評価は気になるし、一般のお客様は「あの店よりどうだ」「この店と比べてどうか」を思い浮かべがちです。


が、
店主が目指すべきは他店の比較対照やランキングの中から生まれるべきではないのかもしれません。


お客様が店選びの参考にするためには、とても優れたグルメランキングはたくさんありますし、私自信そういった意見を野次馬としては面白く見ます。しかし、店主がそのランキングでの評価のために仕事をするようになりそうな恐さがあります。


美味しいもの、お客様が心地よいものを求め、こだわりばかりを全面にださない。


そういう心地よさがこの蕎麦には感じられました。


見習わなくては・・・・。料理は勝った負けたではないのですから、肩の力を抜いて一生懸命。